回転センター

回転センター
機械は使いよう、とはよく言ったもので、使い方が正しければある程度の精度は誰でも出すことができます。使い方が悪ければどんないい機械であっても、その性能は発揮されません。
旋盤は「チャックに対象物を咥えて」「ぶんぶん回して」「刃を当てれば削れる」なんて単純な代物ではなく、それぞれにノウハウとその理由があります。
テールストックにはめて使用するセンターは、固定センターと回転センターがあります。これは長い棒を削るときに右端を支えるためのツールで、これがないと(経験がないと意外なことですが)切削対象の丸棒がバイトに押され、正確な切削ができなくなります。
筆者は直径の5倍程度以上の切削を行う場合は、この「センター」で右端を支えます。
センターを差し込む穴はセンタードリルで開けますが、これはまたの機会にご説明します。
回転センターのメリットはその名の通り「先端部が回転する」ことにあります。ベアリングで支持された先端部は動画の通り、切削対象とともに回転します。これにより切削対象に摩擦熱が掛かることを抑えることができ、安定した切削が可能です。ちなみに長モノ切削に熱は要注意パラメータ、熱が掛かると部材は膨張しゆがみ始めます・・・。
固定センターと比較して精度が劣るという話もあります。が、1/20mm程度を狙うのであれば、回転センターでも十分です。事実、筆者は固定センターはほとんど使用しません。というか、固定センターどこにしまったっけな・・・。
選択のポイント
特にありません、長く使うものですからやはり中古は避けたいです。
お勧めの入手方法
FLシリーズ、またはその同型機を使用されているのであればMT2や3のテーパーでしょう、様々なツールショップで購入することができます。
お勧めの製品はコレ
TIPs
前述のとおり、構造上完璧な精度が出せないツールです。使用方法がまずいとさらに精度がでません。
筆者我流ですが、以下の手順で使用すると比較的精度が出るようです。
- 材料(丸棒ですよね)を三つ爪チャックで「軽く」つかみます。
- テールストックに回転センターを差し込み、ロックハンドルで軽くロックします。
- 旋盤のスイッチを入れ、極低回転で材料を回します。
- テールストックの押し出しハンドルを回転させ、材料に開いているセンタードリルで開けた穴に回転センターを合わせます。材料側(左方向)に、ほんの軽くテンションが掛かってる状態です。
- 旋盤のスイッチを切ります。
- 三つ爪チャックをしっかりと締め付けて材料を固定します。
- 旋盤のスイッチを入れ、中回転(どんなだ)で材料を回します。
- テールストックの押し出しハンドルをしっかりと回転させ、回転センターをしっかりと押し付けます。
- テールストックのロックハンドルをしっかりと回し、ロックします。
- 旋盤のスイッチを切ります。
この「回しながら締め付ける」がポイント、のようです。